ゴルフの「片手打ち」は松山英樹プロが練習に取り入れていることで広く知られるようになりました。
YouTube で動画を配信しているツアープロやレッスンプロの多くが基礎練習としての片手打ちドリルを推奨しています。
ここでは、自らの経験に基づいたゴルフの片手打ちドリルの目的や効果・メリットなどについて紹介します。
ゴルフの片手打ちとは
ゴルフの片手打ちは、その名称のまま、片手だけでボールを打つというドリル・練習メニューです。
ゴルフコースで片手で打つことはまずないので、ゴルフの片手打ちはあくまでも基礎練習の一環として行うものです。
片手打ちには、左手による片手打ちと右手による片手打ちがあります。
左手と右手にはスイングの中でそれぞれ役割が違うので、片手打ちの目的や打ち方にも違いがあります。
ここでいう左右は、右利きゴルファーの場合なので、左利きゴルファーの場合は左右を逆に読み替えてください。
片手打ちで使うクラブは?
片手打ちはピッチングウェッジで行うことを推奨しているプロが多いようですが、最初は短いクラブの方が扱いやすいというのがその理由です。
ただ短いだけならロフト58°などのサンドウェッジの方がよさそうに思えますが、片手、特に左手で振るには少々重いのが難点です。
まだ慣れないうちに重いクラブで片手打ちをがんばってやると手を痛めてしまう恐れがあるので、片手打ちを始めるならクラブの重さと長さのバランスがちょどいいピッチングウェッジがお勧めです。
片手打ち練習の目的
「片手打ち」とはいいいながらも、片手打ちの目的は片手で打つのがうまくなることではなく、下半身と手を同調させて体全体で打つ動作を習得することにあります。
うまく打てるようになっていくにつれ、手で打っているという意識は小さくなっていき、フェイスでボールを運ぶという意識が強くなっていくと思います。
また、右片手打ちの場合、クラブヘッドへの効率のよいパワーの伝え方を習得することも加わります。
片手打ち練習で得られる効果・メリット
片手打ち、特に左片手打ちがある程度うまくできるようになると、普段の両手で打つスイングにそれまでとは違った新しい感覚が生まれるといいます。
自分の場合、片手打ちを始め、うまく打てるようになる前にそのような感覚を感じたので、もしかしたら取り組むだけで様々な気づきがあるドリルなのかもしれません。
片手打ち練習で得られる効果やメリットは人によって違いはあると思いますが、自分の場合は以下が感じられました。
- ハンドファーストが身に付いた
- クラブを自然落下させられるようになった
- 体の回転で打つスイングが身に付いた
- インパクトゾーンでグリップが体近くを通るようになった
- インパクト後の左肘の引けが改善した
- クラブを引く動作がわかった
- ショートアプローチが安定した
これらは相互に密接に関連しており、同列に並べられないものもあるかもしれませんが、自分の経験から一つずつ解説します。
ハンドファーストが身に付く
ゴルフのスイングではハンドファーストでインパクト(ビジネスゾーン)を迎えるのがよいとされていますが、両手で打つ場合はハンドファーストでなくてもそれなりに当てることができます。
ところが、片手打ちでは小手先の操作がほぼできないので、ハンドファーストになっていないとうまく打つことができません。
片手打ちがうまくできるようになると、自然にハンドファーストも身に付きます。
クラブを自然落下させられるようになる
自分の場合、片手打ちで得られたもっとも大きな効果は、トップで力を抜いてクラブを自然落下させられるようになったことです。
力を抜いてヘッドを自然落下させることによってスイング軌道が安定し、まだ発展途上ですが、番手の違うクラブでも同じようなイメージでスイングできるようになりました。
体の回転で打つスイングが身に付く
片手打ちは手だけではうまく打てないどころか、最初は当てるのも難しいと思います。
うまくヒットするためには体の回転で打つことが必要になるため、自然に体の回転で打つスイングが身に付きます。
体を回転が身に付いたことによって、以降全てのメリットにつながったといってもいいと思います。
インパクトゾーンでグリップが体近くを通る
重いものを持つ際に手の位置が体に近い方が力を入れやすいのと同様に、スイングでもグリップが体の近くを通る方がパワーを出すことができると言われていますが、無理に体近くを通そうとしても下半身の動きと連動せずにダフったりすることが多い状態でした。
右片手打ちの練習によって下半身と右手の連動がスムーズにできるようになった結果、インパクトゾーンで安定してグリップを体近くに通せるようになりました。
インパクト時の左肘の引けが改善
チキンウィングとも呼ばれている「インパクト後の左肘の引け」は多くのアマチュアに共通する悩みだと思います。
左片手打ちをうまく打てるよにうなると左肘は引けなくなりましたが、その感覚のまま両手で20ヤードほどのショートスイングを打ってみるとそこでも左肘の引けは改善されていました。
その感覚を活かしてハーフスイング、フルスイングにつなげ、スイング全般において左肘の引けを改善することができました。
クラブを引く動作がわかる
「クラブを引く」という動作はゴルフのスイングにおいて非常に重要な要素です。
クラブを引き続けてスイングすることによってヘッド軌道が安定し、ヘッドスピードもアップすることができるのですが、なかなか理解しづらい動作でもあります。
自分の場合、片手打ちがうまくできるようになったことで「クラブを引く」という動作が理解できるようになり、それをハーフスイング、フルスイングに活かしていくことができました。
ショートアプローチが安定
インパクトゾーンでグリップが体近くを安定して通るようになったことで、ショートアプローチが劇的に安定しました。
練習場のマットではほぼ失敗しなくなりましたが、コースでは芝の状態によってはうまくいかないこともあります。
ただ、以前に比べてアプローチをする時の不安が自信に変わったことは大きく、それによって「ここはぴったり寄せる!」という楽しみも増えました。